炭水化物を減らすケトン体ダイエットが体内時計を早める!

炭水化物を減らすケトン体ダイエットが体内時計を早める!

炭水化物を減らすケトン体ダイエットがマウスの体内時計を早めることを産業技術総合研究所が発見。 
体内時計は時計遺伝子と言われるリズム発振に重要な役割を担っており、体内時計の時刻を知るための指標となっています。ヒトを含む哺乳(ほにゅう)類では、脳だけではなく、心臓や肝臓、腎臓などほぼすべての臓器で時計遺伝子の働きが認められます。今回マウスを用いた動物実験によって、ケトン体ダイエットが時計遺伝子の働きに作用し、体内時計を早める効果があることを発見しました。
 マウスの餌には、通常50 %程度の炭水化物が含まれており、これを0.73 %に減らしたケトン体ダイエット食を、14日間与えて時計遺伝子の働きを調べました。その結果、最もよく働く時刻が、4時間~8時間早くなっていることが確認されました。つまり朝、早く起きてしまうということです。これは老人のように早起き早寝という体内時計が老化した状態になってしまうということでしょうか?逆説的見解で、メラトニンという睡眠を促すホルモンには抗老化作用があるといわれており、そういったサプリメントが販売されているのと同じ意味になりますがどちらも研究段階で、体内時計を25時間周期でまわしても、メラトニンのメカニズムが解明されない限り、老化を遅らせるまでには至らないのでは、というのが見解です。よって体内時計が早まるのと体内時計が老化するのも断定できません。
概日リズム(サーカディアンリズム)の障害と呼ばれる一連の睡眠障害の発症には、時計遺伝子によって制御される体内時計が関係しているものと考えられていますが、その詳細なメカニズムも明らかではありません。睡眠障害の治療法としては、高照度光療法や、ビタミンB12やメラトニンの投与などが行われていますが、その作用メカニズムは不明な部分もあり、効果に関しても大きな個人差があり、これまでの治療法と作用メカニズムの異なる新規な睡眠障害治療法の開発が望まれています。
   このようなケトン体ダイエットによる早起き効果は、活動時間帯が後退(夜更かし朝寝坊型)する睡眠相後退症候群(DSPS)のモデルマウス(時計遺伝子クロック(Clock)の壊れた変異マウス)でも確認できました。
 ケトン体ダイエットが体内時計の動きを早めることは『薬剤に依存しない、食による睡眠(リズム)障害の治療法や時差ぼけ改善法としての可能性』が考えられます。
 ケトン体ダイエットによる体内時計制御のメカニズムについては、その作用部位も含めて不明な点も多く、今後は、個体レベルでの分子メカニズムの解明を目指しています。
 なお、ケトン体ダイエットは、癲癇(てんかん)や肥満の治療法として実際に臨床現場で用いられている一方で、その長期的な安全性についてもまだ議論されている段階であり、ヒトへの応用には、安全性を十分考慮した上で、その効果を慎重に検討する必要があります。
 
◎体内時計とは、地球上のほとんどすべての生物がもつ、地球の自転周期にほぼ一致した約24時間の概日リズム(サーカディアンリズム)を刻むシステム。近年、時計遺伝子と呼ばれる一連の遺伝子群によって構成されていることが明らかとなってきた。
◎ケトン体ダイエットとは、低炭水化物ダイエット、アトキンスダイエットなどとも呼ばれ、ロバート・アトキンス博士が考案したとされているダイエット法。さまざまな定義があるが、一般的には低炭水化物ダイエットのことで、食事中の炭水化物の含有量を極端に少なくし、その分、脂肪の含有量を多くするというダイエット法。ケトン体ダイエットでは、炭水化物の含有量を減らすことでインスリンの分泌を抑えられ、脂肪細胞の肥大化が抑制されるものと考えられている。肥満者に対しては、短期間で顕著な減量効果が認められ、実際に欧米では、肥満者の治療法として広く用いられている。ただし、その減量効果に対しては、一時的なものにすぎないとの見解も多く、安全性も含め、現段階では一定の見解が得られていない。
●ケトン体で身体の飢餓状態がわかります
ケトン体とは、体内で糖分が足りなくなって、脂肪分解が急激に起きたときに尿や血液中に出てくる有害物質のことです。身体の飢餓状態がわかります。つわりの症状がひどくなって、水も受けつけなくなり、脱水症状を起こしたり、何も食べられない状態が長く続いて、栄養障害を起こしてしまうことがあります。このような状態を「妊娠悪阻(にんしんおそ)」といいますが、尿中にケトン体が出ているかどうかを確認します。ケトン体は、尿検査では(+)から(+++)まであります。体重が5kg以上減ったり、フラフラするなどの症状が見られたら、医師に相談しましょう。
またケトン体の検査は、インスリン作用の不足の程度をチェックできます。糖尿病の状態やその進行、血糖コントロールされているかを判断するのに役立ちます。
ケトン体は脂肪が分解されるときに生じる廃棄物です。つまり脂肪を分解してエネルギーとして消費した結果の廃棄物(=ケトン体)。血液中のブドウ糖がインスリンによってエネルギーに変換されていれば問題ありませんが、インスリンが不足すると、脂肪をエネルギーとして利用するようになり、ケトン体が生まれます。つまり、ケトン体が血液の中にあるということは、インスリンが不足しているということがわかります。

◎睡眠相後退症候群(DSPS)とは、概日リズム睡眠障害と呼ばれるリズム障害の一種。睡眠時間帯が、望ましい時間帯から遅れた状態が慢性的に続き、睡眠時間帯を早めることが困難とされる。同症候群は、思春期に発症することが多く、受験勉強などによる夜更かしが発症契機となる場合もある。体温リズムやメラトニンの分泌リズムなどから、何らかの体内時計機構の障害が原因と考えられている。

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